そーか

何気ないこと

『スローターハウス5 (ハヤカワ文庫 SF 302)』カート・ヴォネガット・ジュニア

過去から未来の記憶を並列に見ることができる主人公を通して、作者自身の戦争経験を描いている。原子爆弾という一つの強力な兵器がなくとも、通常兵器の圧倒的な物量が都市を更地にしてしまう。1人の力ではどうにもならない状況に対して、「そういうものだ」と割り切るしかない。そうせざるを得ない状況を、実体験でありながら、他人事のように淡々とした語り方で描くことで、凄惨さを際立たせている。

不規則に時代を漂流するように場面が切り替わるのは、過去の記憶がフラッシュバックする感覚に近く、それを主人公の超能力にしてしまう発想が面白い。

◽️ドレスデン爆撃

・1945年第二次世界大戦中に行われた空爆

・ドイツのドレスデンに向けて、イギリス空軍とアメリカ空軍が3900トンの爆弾を投下した。

・民間人の死者は公式には3万5千人とされている。

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